パイを焼く

今朝,赤い箱に入った丸いチーズケーキを2つもらった。どこかの冷蔵庫に入れたはずだが,見つからない。

私は,自習室の冷蔵庫を開けた。自習室にも冷蔵庫があるのだ。開けて初めて思い出したのだが,人にあげるつもりで作ったパイが古くなっていた。形はかろうじておかしくはないが,食べるのには適さないだろう。マロンのパイ,乾燥ラズベリーのパイ,アップルパイ,スミレの砂糖漬けが乗ったパイ……。私はなぜこんなにたくさんのお菓子を作って,誰にもあげないで冷蔵庫にキープしていたのだろう?自習室ということは,勉強中の友人にでもあげるつもりだったのだ。

このパイはどうにか処理しなければいけない。気は重いが,放っておいても事態はよくならないのだ。

それは分かっているが,ひとまず私は冷蔵庫をそのままに扉を閉めた。チーズケーキまで腐らせるわけにはいかない。あれは,今朝私に宛ててどこかから届いた高級品なのだ。2つのうち1つは,少し味見したが,とてもおいしかった。どこか別の冷蔵庫にあるはずだ。