幸せになる?

いま仕事がない。お金も大して持ってない。家もないようなもの。家族も。

しかし、大して不安にならないのである。お金がなければ子供を大学に行かせることができない。貧困の連鎖。私自身は大学へ行っているので情けない限りではあるが、しかしそういう話を鑑みても、それが幸せとどう関係あるのかいまいちピンとこない。

大学には行ったし人並みに卒業したものの、自分は幸せになれない、あるいは、どうして幸せになれないのか?という疑問から逃れた日は一日もなかったように思う。

だから、お金がなくてもいまいち不安にならない。しかし、自分が大学にも行けなかったら、もっと不幸になっていた可能性はあるが。

お金や物、部屋についても同様である。

私の兄弟には盗癖があり、学校で必要なものやちょっとした良いもの、きれいなものまで、なんでも盗まれた。親は無関心だった。そういえば、大学の入学祝の10万円近い現金も下宿から盗まれたが、最初からなかったことになった。もしかしたら面倒を避けて親には言わなかったのかもしれない。それ以降兄弟を下宿に泊めるのは全力で拒否したが。

そんなこんなで、物を持っていても自分の物という感じはしないし、お金もいつ盗まれてもしょうがないから稼ぐ気にもならない。部屋だって、どのみち安心できる場所ではないという感覚が根底にある。

物が盗まれれば、親は、それはどのみち親が買い与えたものなのだから騒ぐな、と言った。しかし、どうみても自力で手に入れたコンクールの賞品も盗まれているのだから筋が通らない。また、親に買ってもらったものが盗まれても無関心なのだから、恩着せがましくしないでほしいものである。

人生の基礎がそのようにできているものだから、反面、手に入るものなら、安心できる部屋、信用できる家族、盗まれない、あるいは盗まれれば基本的には問題になるお金や財産が欲しい。そのようなものは多くの人にとって当たり前だと思うと悲しい。